スケートボード愛好者の増加にともない、各地のスポーツ施設や遊休地への
施設の設置が増えてきました。協会にも多くの自治体や公共施設からの問い合
わせが激増しています。このページでは今までにあった事例を参考に、建設側
の立場に立って公共スケートパーク建設の注意点や、ポイントを御紹介できれ

ばと考えています。                          



1,なぜスケートパークの需要があるのか?

70年代から一般的に認知されることになったスケートボード(以下SB)や
BMX、ローラースケートはインラインに進化し、これらの遊びが時代の変遷
の中で大衆を魅了するスポーツとして成長してきています。これらに共通する
のは、舗装路さえ有れば玄関を出た瞬間に楽しめる。いわゆるストリート・ス
ポーツという新しいカテゴリーの誕生です。               

表現方法や楽しみ方は自由。何の束縛も強要もなく、愛好者の目的も競技指向
からフィットネス、ファッションと幅広く、90年代には時代のトレンドとし
て一気にブレイクしました。                      

本場アメリカでは早くから柔軟な政策で専用施設の整備が進んでいましたが、
国内に目を向けると、新しい物に厳しい現実から専用施設の整備も遅れ、愛好
者の増加に対応が間に合いませんでした。文字通りフィールドはストリートに
なってしまったのです。                        

当然、歩行者とのトラブルや騒音問題といったトラブルも頻発し、各地で排除
対象になった事も有りましたが、安全な所で練習する必要のあるスポーツとし
ての魅力は大人達の想像をはるかに越えるパワーを持っていたのです。   

21世紀に入るとインターネットで情報が簡単に交換できる環境が整い、各地
で民間パークが増加、近くに環境の無い愛好者は署名運動などを始めました。
初めは見向きもしなかった大人達ですが彼らの熱意やを受け止め、横須賀市や
富山城端町といった市町村が反応、成功とともに全国へ拡がっていきます。 

現在では地域住民へのサービスといった公共事業の根幹のほか、町興しや若者
誘致といった観光事業の側面でも注目されています。           


2,パーク建設を考える際の確認事項

簡単に言えば様々な遊戯施設のある公園をバランス良く配置する事と同じなの
ですが、スケートパーク(以下SP)
独特の注意点が3つあります。特に公共
施設として運営する際には重要となりますので御注意下さい(質問例集にもサ
ンプル有)。                             

■施設での利用は地元の若年層が中心です。ですから、初めから全国大会開催

規模の物(高難易度)を作っても怪我人が続出するだけになりますので、地元
のレベルに合った場所、地元の子供達が欲しい物を作る事を勧めます。まずは
子供達とのコミュニケーションを必ず取って下さい。これを無視して箱物財政
的に見よう見まねで公園を作ったは良いが利用されずに市民からひんしゅくを
浴びている場所が全国に何カ所か実在します。              

■自己責任は徹底できますか? スケートボード自体は、不安定な物の上に乗

って楽しむ物ですので当然転倒します。当然、怪我が付き物になりますが、日
本の風習では公園等での事故は行政の責任に被せる場合が多々あります。開設
には本人達をも含め、行政として強い意志が必要です。          

作りっぱなしでは飽きてしまいます。子供達の技術進歩には凄い才能があり
同じ施設では1年ほどで飽きてしまう場合が多々あります。当然施設の損傷な
ども有りますし、2年に一度程度は一部改装や、季節ごとのメンテナンスも必
要になります。この様な予算を確保できないと利用者が減り、最初は好評でも
利用効率の低下につながってしまいます。                



3,どんなパークを作ればいいの?

SPには大きく分けて下の4つのタイプが存在します。簡単な長短所と合わせ
初期投資の低い順に御紹介します。                   

■木材を主素材に作られたセクションを配置したSP。初期投資は最も安価で
すが、日本の風土では痛みが早くメンテナンスが非常に重要です。主に民間管
理の施設で多用されています。                     


■鉄骨を主材料に作られたセクションを配置したSP。比較的安価で雨風にも
強いですが、鉄骨だけの場合は騒音や錆の問題が有ります。最近では減少傾向
にあります。                             

■モジュラー式といわれる新素材を組み合わせた最新鋭セクションを購入して
配置したSP。メンテも楽で騒音も少ない、販売しているメーカーも増え配置
に多様
性があるので最近の主流となりつつある。             

■コンクリート製のSP。最高の滑走性で人気は1番だが、事前の製作準備な
どは時間と専門的な知識が必要、独自性のアピールはダントツに強いので差別
化を希望の自治体には人気があります。                 


4,目的と施工規模の関係


先の項目で説明したようにSPには大から小まで様々な形態が有ることが想像
できると思います。仮に大きな面積を有するSPでもバランスが悪ければ人は
集まりません、逆に小さなスペースでも楽しければ人は集まります。    

強引な表現ですがゴルフに例えればマスターズで有名なオーガスタも、河川敷

のコースも同じゴルフコースです。料金体系やシステムを含め対局にある施設
ですが、ゴルフ愛好者にとって楽しむ場としては同じ施設ではないしょうか?

要は「誰のため何のために」「将来はどうしたい」といったビジョンを施設と
して明確に持つ事が重要となってきます。「小さいから大した施設は無理」と

考えてはいけません。大きく予算が豊富であっても配置や形状がダメなら無駄
になってしまいます。小さくても人が溢れる場所の多くは「目的の明確化」に
差にあるように思います。参考事例として公共パークとして成功した自治体か

らのコメントをいくつか頂いていますので御紹介します。         

●鳥取県・弓ヶ浜公園スケートパーク(都村製作所監修)         

●東京都・城南島海浜公園スケボー広場(都村製作所監修)        

さらに日本スケートボード協会では、各地の行政機関とのアドバイザリー契約を
結び、地元スケーターとの意見調整や、多くの蓄積に基づいた長期的な運営設計
をお手伝いさせて頂いています。                     
平成16年より計画をスタートした寒河江パーク、同じく平成18年にUR都市
機構とのコラボレーションにて完成した西川口パークと、まったく異なるタイプ
のパーク建設に立ち会い、高い評価を頂いています。            


●山形県・寒河江スケートパーク(平成18年春オープン)        

●埼玉県・西川口スケートパーク(平成18年春オープン)        


5,建設後の注意点

協会に寄せられる相談の多くは使用ルールの事です。特にヘルメットの着用に
関しての問い合わせが多いのですが、協会としては「着用を奨励」という立場
にあります。しかし強制事項が増えれば管理に負担が増えます。逆に自主性に
依存すれば軽減します。このあたりのバランスが非常に難しいのですが、立地
条件や、事業主体により色々な方法があると思います。          

日本スケートボード協会では各デベロッパーと共に、様々な相談に対応できる
体制を整えています。企画の段階から設計、各種インフラ整備、運営に至るま

で何なりとお気軽にご相談下さい。                   



一般社団法人 日本スケートボード協会
〒231-0801 神奈川県横浜市中区新山下2-4-3 みなと石油ビル4F
TEL 045-628-1447 FAX 045-628-1448





次の企業は日本スケートボード協会の賛助会員としてスケートボードの発展や
青少年のスポーツ育成や健康づくりの創造に協力して頂いております。モジュ
ラー式セクションが中心ではありますが、初期の相談事からアフターケアまで
幅広く対応しています。色々な情報が掲載されているHPを紹介しておきます
ので、こちらも参考にされてはどうでしょうか。             






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