「2007AJSA SKATE FESTIEVAL in 湘南 FLAKE CUP」のタイトルでキッズ&レディースの
ミニランプコンテストが9月22日(日)、神奈川県湘南海浜公園鵠沼スケートパークにて開催された。
まだまだ残暑厳しい時期であり、湘南特有の湿気と塩混じりの南風で蒸し暑さが予想されていたが、
当日は珍しく北東からの心地良い涼風と、日差しの強さを感じさせない薄曇という絶好の天気に恵まれ、
これから始まる試合での盛り上がりが期待された。
まずはジャッジの紹介。
勝又 昌彦
湘南においてサーフスケートというシーンを確立させたパイオニア的存在、氏の圧倒的なカリスマ性と
斬新なアイデアによって毎年夏に開かれる『THE SURFSKATERS』という祭典には多くの人が集まり、
その祭典に選手として出場することが若手サーフスケーターズの指標ともなっている。
小川 元
数々のバート試合優勝経験を持ち、国際戦にも参加している日本屈指のトッププロバートライダー。
先に行われたAJSAバート部門でも見事ぶっちぎりで優勝を果たし、国内チャンピオンの名をさらに不動
のものとした。世界ランキング20位。
鵠沼スケートパークにおいてスクール活動を行っているのでそちらも是非チェック して頂きたい。
米谷 映
狭い空間でも創造性次第で多彩なスケートスタイルを表現できる、ミニランプというスタイルが確立され
始めた頃からのスケートカルチャーを知る神奈川屈指のスケーター。
長身から繰り出される多彩でスタイリッシュなトリックは今でも多くのライダー達の憧れの的である。
中でも彼のFS SMITHGRINDは米国誌『JUCE』において掲載される程に絶品!
そしてMC。
上田 豪
デッキやトラックなどでシグネチャーを出すトッププロスケーター。ハイスピードからの豪快なトリック
でギャラリーのド肝を抜くばかりでなく、そのフレンドリーな人柄でファンも多く、数々のビッグイベント
でのMCをこなす人気者。今回は彼の手掛けるスケートスクールからの教え子も多数参加。
それでは大会の模様をお伝えします。
まずはビギナークラス、全クラス中で最も多いエントリー数なので、練習の混雑が予想されたために練習
時間を予定より多めにしたのだが、それまで和気藹々としていた子供達はプロテクターを装着するや否や、
まるで戦国時代の武将が敵の城壁をよじ登るがごとくランプを駆けあがり、我先にとスネークドロップ合
戦に臨ん でいるじゃありませんか! 試合前から早くも会場は大混乱!!
左右から10名以上が同時にドロップを狙いラインを奪い合うという、熾烈なバトルが勃発!!!
この危険な事態を案じたMC上田豪氏の豪快な一喝によりなんとか場は収まったのですが、今後こういった
事態にならないように運営側も何か対策を立てる必要があると感じました。
さあいよいよビギナークラス競技開始。
予選無し、40秒2トライ決着のため、一本目は手堅くポイントを重ね、2本目で勝負!・・・
が作戦としては上策かと思われるのだが、ここはやはり子供。1本目から全開です・・・。
ビギナーで全開なのですから当然、衝撃ハプニングシーンの連続です。
スケートというよりはプロレスの投げ技に近い吹っ飛び方の選手が多数いました。
ここで砕け散った選手達、頑張るのと無謀とは違うということをここで学んだ事でしょう。。。
大怪我をしないためにもそうであって欲しいものです。。。
そんなメガンテさながらの自爆行為をみせるライダーが多い中、持ち前の冷静さが功を奏し、着実にポイント
を重ね1位の座に輝いたのが杉原寛太、
そして2位には佐川りょう、
3位に湧嶋琉星、
いずれも特に無理な狙い方をせず、安定した滑りでしたね。
こういったクラスの試合で自己ベストを出すには、いかにいつもどうりの平常心で臨めるかがキーとなるようです。
続いてエキスパートクラス。
こちらもルールはビギナーと同じく2トライ決勝。
このクラスは全員が何処かしらで試合経験があり、自分でもそこそこ自信があるレベル。
本人同士達も何度か面識がある場合が多いようで、プラットホーム上でふざけ合っていたり、なにやら作戦会議
らしき会話をしたりとかなり慣れた様子。
スケートの方も各自の好みやスタイルがなんとなく出始め、見る側としても、そのあたりのそれぞれの狙い方が
わかると見応え充分です。
優勝した佐川かいとはエアー・リップ共に完成度の高い持ち技があり、2位の堀米雄斗、3位の村松聖太らも同様
に得意技きっちりとルーティンの中に織り交ぜポイントを稼ぎ、好成績の結果となったようだ。
今後、彼等が得意技をさらに磨きあげ、バリエーションを増やし、さらなる高みを目指して試合の舞台に現れて
くるのがとても楽しみだ。
佐川かいと
堀米雄斗
村松聖太
さて、いよいよスペシャルクラス!
こちらは弱冠エントリーが少なめですが、それもそのはず、出場条件が「小学生以下のスポンサードライダー」。
そうそういるもんじゃありません。
というわけでこのクラスは少数ながらも超精鋭揃い、体は小さいながらもその試合に臨む気迫はなかなかのもので、
会場全体にもその雰囲気が伝わったのかギャラリーの熱い視線がランプに集中しはじめる。
ここで注目したいのが出場選手達のマナー。
先の2クラスとは違い、練習中はある程度お互いに目で合図しながらのドロップイン、ベテラン(6年生)の飯野沙弥香
などにいたっては自ら相手に順番を譲るという大人ぶりを発揮、スケートの技術だけでなくこういった部分での成長も
大いに評価していきたいところだ。
誰が優勝してもおかしくない実力の持ち主ばかり、試合ルールーが先とは変わり、ローテーションのジャムセッション
となるため、単発の大技や互いの駆け引きなども見どころとなり、かなり面白い展開となった。
先に紹介した飯野沙弥香は得意のブラントやフリップのバリエーションで全選手中最も難易度の高いトリックを狙うも、
これが全て決まらずに残念ながら6位。実力が充分なだけに今回の結果は悔やまれます。
飯野沙弥香
5位の浜瀬海・4位の桑本透伍は地元からのエントリーなので、終始リラックスムードでいくかと思いきや、かなり緊張
した様子。雰囲気に呑まれて得意技を出し切れず・・・というか忘れていたように思える。
いつもどうりのトリックが出せてればこの順位ではなかったかはず!次回に期待!
浜瀬海
桑本透伍
3位の井狩太海はかなり男前なFS5−0やBSDスライドなんかの流し技と、要所要所にエアトリックを織り交ぜて、ライ
ンを綺麗にまとめてのランクイン、バリエーションが増えればさらなる活躍が望めそうです。
井狩太海
2位の田村歩夢は上手い子供独特のクールさでリップトリックを次々とメイク、個々の完成度の高さを見ると普段から
相当な練習を積んでいるように思えた。長身を活かした大技がでのアピールがあれば優勝も狙えたはず。
田村歩夢
そして見事優勝の栄冠をもぎ取ったのが春日美夢!
飛んでよし!回してよし!擦ってよし!のノーミスルーティンを何度も出し、ジャッジ全員一致の見事な優勝。
おめでとう!
春日美夢
最後にレディースクラス。
こちらは大人から子供までで1クラス、ノースポンサードが条件ながらもやはり実力差は大きく、初心者選手に
とってはやや厳しい展開のようだ。
今後参加選手が増えれば2クラスぐらいにはしていきたいところだが、今回は経験ということで選手に考慮して
頂ければ有難い。さすが大人混じりの試合だけあってこのクラスはかなりピース!
「まあお祭り気分で楽しくやりましょ!」的なノリでお互いマイペースに譲りあいながらの練習。
我々、男にとって、女子のバトルほど厄介なものはないので、関係者一同ほっと胸を撫で下ろした所でした。
そんなピースなノリの中、1位の座を勝ち取ったのが「岸野“ジェフグロッソ”智美」。
黒×紫のストライプシャツ、黒のショーツにスタッズベルトというAJSAの名MC「ジェッツ森」氏がみたら大喜び
しそうな邪悪で横縞な服装で、トリックの方もボンレスやハンドプラントとこれまたかなり邪悪!未完成ながらも
その気合いと邪悪さがジャッジにウケたのか!?
岸野智美
2位はブラント系のワザが冴えた森崎麻衣が入る。
フロントサイドを鍛えて次回の栄冠を是非狙いにきてもらいたいものです。
森崎麻衣
3位はなんとスケート歴一年の古澤多江子が初出場ながらもゲット。
FSスミスやブラントロックフェイキーなどを見事に決めていた。
古澤多江子
そして、ミニランプ部門特別賞は、ビギナークラスにエントリーの、木村勘太郎(3才)に贈呈された。
また、試合終了後に参加者の任意を募ってパーク周辺の清掃活動を実施。
鵠沼パークは海岸に面しているために砂浜のゴミ拾いも行ったのだが、これによってスケートを通じて自然環境にも
目をむけるきっかけになってくれればと思います。
こういったパークの清掃活動は鵠沼パークだけに限らず、地域ごとにパークやスポットを大事にする地元スケーター
がずっと以前から行ってきていることです。
どの場所もそういった思いがなければ存続しえません。
実際に利用者のマナーの悪化が原因で閉鎖やスケート禁止になった場所はたくさんあります。
もしどこかでそういった活動をされる方々を見かけたら、少しだけでも手伝って交流を深めてみてはどうでしょうか?
技とか服とかの表面的なことだけでなく、もっと深いリアルなスケートが見えてくるかも知れませんよ!
次回のキッズ&レディース戦は10月28日、神奈川県のX-DOME(パークスタイル)!!
またその時にお会いしましょう! それでは!