昨年に引き続き全日本アマチュア選手権の会場は三重県B7 SKATEPARK。
プロ昇格権利の掛かった大会だけに、AJSA競技本部からの推薦も強く2年連続の開催だ。
さらに昨年は日曜日に天候が崩れてしまい、ジュニア&キッズ、マスターやレディース選手権も
キャンセルとなってしまったので、選手からの要望も強かった。

そんな土曜日。天候は晴れ。しかし翌日の天候は降水確率90%と非常な秋雨前線が日本を縦断。
この天気予報にリザーブ会場でもある和歌山県Pyxis SkatepARkへ早々と移動してしまう選手も。
という事で昨年の教訓を生かし、日曜日の天気予報が悪かったら、土曜日のうちに全日本アマは
決勝まで完結してしまうレギュレーションで、告知どおり開始となった。



全国から集まったトライアルを勝ち抜いたスケーターは40人。初出場は15人程度だろうか?
よく見る顔もいれば、噂の彼や、噂の彼女もいる。北は岩手、南は熊本といったところ。
定刻通り予選スタート。


ジャッジは手前から山西、塩谷、森本、坂田、冨田の布陣。MCジェッツにTKバシ君


今さら語るのも野暮かもしれないが、競技本部の意向のとおりB7はハードなパークである。
流すだけでも楽しめるが、攻めれば攻めるほどキバを向いて来るのがB7なのである。
選手に聞くと、やはり関東や関西から2〜3度は練習に来ているらしい。そして課題を作り
地元のパークで練習し、今日に挑んでいる。東北や九州の選手には少し酷な状況かもしれないが、
以前は数日前からB7入りして大会に挑み、公認プロとして活躍している選手も多数いる。
それだけに重要な大会である事を再認識して頂きたい。

悪天候のため予選開始直前の11時の天気予報で、正式に準決勝をキャンセルし、16名で決勝を行い、
上位8名が公認プロ資格を獲得というのが本日の最終レギュレーションとなった。

B7所属の選手が1人も居ないのは非常に淋しい限りだが、中部サーキット勢の予選落ちが目立つ。
決勝進出者の顔ぶれを見ても、先ほど書いたとおり事前練習を重ねたメンバーが多い様だ。
決勝が楽しみである。





そして決勝。
このレベルの大会になると、決勝で上位に進出するためにポイントになる事がいくつか有る。
例えばルーティーンの変え方が一つ。
ラインは同じでトリックの難易度を上げて来る選手。まったく別のルーティーンを用意していた選手。
もちろん後者は難易度も上がっている。上位8名に入るにせよ、全日本タイトルを狙うにせよ、
予選と同じ滑りをしていたのでは手が届く事は無い。

そして、もう一つはスケール感。ここ数年で出来た各地の大きなパークに比べたらB7はコンパクトだ、
しかし歴史とコダワリが創りあげてきたライン、模倣されるほど絶妙なセクションバランスが織りなす
完成度がB7は最強のパークと言われるゆえん。美しい器には美しい料理しか似合わないのと同じく、
完成度の高いパークには完成度の高い滑りしか似合わない。
怪我や緊張で成績を落とす選手も何人か見受けたが、上位8名に関してはジャッジが選んだのではなく
B7スケートパークに選ばれたのである。とは言いすぎかな?


8位 前田 拓人(ムラサキ本厚木)


7位 金盛 壮一郎(ムラサキ岡山)


6位 笹岡 堅志(セキノレーシング)


5位 小林 紗輝(ダブルフェイス)


4位 池 慧野巨(ムラサキ大日)


3位 岸 海(ムラサキ八王子)






準優勝 高山 零央(is OLLIES)


優勝 有馬 昂希(ダブルフェイス)



特に上位2名の滑りは素晴らしかった。詳細は編集中のダイジェストをご覧頂くとして、
ここではポイントに注目して欲しい。それも採用されなかった低い方のポイントの方です、
今回の8位のポイントが170点。上位7名のうち低い方のポイントが上回っている選手は3名。
この点数に裏付けされた実力が、2本目のルーティーンに表れるのだ。
ふたたび上位2名の点数を見て欲しい。2位の高山が1本目のハイスコア。それを見て有馬が
2本目でギャンブル(難易度を上げる)に成功。直後に滑る高山がさらにハイスコアを狙い、
これは残念ながら失敗に終わったが、1本目を活かして見事な準優勝を獲得している。

難しい話が続いたが、簡単に言ってしまえば「順応力」と「集中力」が必要という話しです。
自分が出来ないトリックにトライするのはギャンブルじゃなく無謀です。
成功した、自分のトリックを何パーセントのリスクの中で取り入れて行くかが重要。
最近のコンテストでは「見せる滑り」も重要という事です。

脱線しすぎましたが、入賞した選手には賛辞を、集まってくれた皆様には御礼を。
そして上位8名の皆様にはあらためて「これからスケートボードの楽しい世界が始まるのです」と
エールを込めて感謝したいと思います。




B7での写真:西村知之(アリーウープ) & AJSA STAFF







という事で日曜日は和歌山県のSkatepark Pyxisに移動して開催です。
全日本アマとのダブルエントリーが多かったため、土曜日のみで燃え尽きてしまった選手達の
キャンセルが多発。予想はしていましたが少ない人数での開催になり少し残念でした。

しかし先にも述べたとおり、全日本をキャンセルして今日を本番と考えている選手も多く、
少数精鋭ではありましたが、レベルの高い、良い大会になりました事だけは信じて頂きたい。


こちらのジャッジも昨日と同じメンツが移動して審査していただいています。


キッズ部門3位 小笠原輝


キッズ部門2位 クワバラケイチ希海


キッズ部門1位 そしてジュニア部門3位 岸亜玖空


ジュニア部門2位 西村碧莉


ジュニア部門1位 平松凱


マスターズ部門1位 ピーター・フレジャー


レディース部門3位 小笠原茜梨


レディース部門2位 中村貴咲


レディース部門1位 西村碧莉




レディース入賞者。

左から小林オーナー、左から優勝の西村碧莉、2位の中村貴咲、3位の小笠原茜梨、4位の西村詞音。

マスタークラス入賞者。

左から優勝のピーター、2位の伊藤寿、3位は熊本から参加の木佐貫芳史「八段」。

ジュニアクラス入賞者。

左から優勝の平松凱、2位の西村碧莉、3位の岸海玖空、4位のクワバラケイチ希海、5位の柿谷斗輝。

キッズクラス入賞者

優勝の岸海玖空、2位のクワバラケイチ希海、3位の小笠原輝、4位の佐々木音憧、5位の柿谷季輝。
 


昨年は途中から降り出した雨のため、途中でキャンセルとなりましたが、Pyxisのおかげで2年ぶりの
開催が出来ました。
過酷なスケジュールの中、リザーブ会場なんて失礼な協力依頼に対して、快く会場を提供して頂いた
Skatepark Pyxisオーナー、小林衣舞さんにこの場を借りまして、改めて御礼申し上げます。


PYXISでの写真:伊藤寿(B7 EASTSHOP) & AJSA STAFF

ALL TEXT : 日本スケートボード協会事務局