いよいよ今年のAJSAプロツアーも最終戦「DC CUP」で全てが決まる。
春先のスケジューリングでは9月の最終週に開催予定だったが諸般の理由で11/3に延期、
11月という事で寒さが気になっていたが、参加者にとっては真夏の大会より、爽やかな晩秋の陽気に
恵まれて、絶好の大会日和になった事が嬉しかった。

エントリーは20名。怪我や、諸々の事情で決勝常連スケーターが数名不在だったのが残念だが、
北は北海道、南は沖縄まで、文字通り日本最高峰のコンテストとして、素晴らしいスケーターが
マップス東京に集結した。



プロ戦ジャッジは5人制、左から13年目を迎える自身が始めたイベント「太田フェスティバル」を
抜け出して参戦の冨田カレー誠。中部サーキットから山西栄二、元AJSA公認プロスケーター早川大輔。
同じくダブルフェイスの亀岡佑一。ご存知AJSAのドンこと西川キングスラーたかしの面々。
5人の最高点と最低点をカットした、中間3人の合計300点満点で争われる。

出走順はエントリー受付時にドローボックスから番号付きのピンポン玉を選手自身がピックアップ。
参加予想人数より多めに玉が入っているので、残った番号は無視して繰り上げて決まる。



ちなみに撮影に協力してくれた西川誠は前日の練習中、地獄を見て救急車で搬送。
直前まで様子を見ていたがランキング上位につけている事もあり意地の出場ではあったが
やはりダメージが残っていた様で残念ながら予選落ちとなってしまった。



という事で予選のリザルツは以下の通り。
有って当たり前の名前が無いのは淋しいが、面白いメンバーでの決勝が楽しみである。
特にバーチカルがメインと思われている堀米と、ワイルドカードながら前戦の原池のインディカップで
優勝してしまった笹岡の滑りに注目である。



それでは決勝リザルツ順に入賞選手を紹介していきましょう。

第8位は山形からエントリーの松木愛瑠(トランスミット)。

彼のメインスポンサーDCが冠する大会で予選1位で決勝へ進出するも、1本目の途中で足が痙攣。
大事を取って2本目に備えたが、回復する事無く無情にもDNS。
昨年のDC CUPでも準優勝しており、マップス東京との相性の良さを期待し、優勝候補の筆頭だった
だけに、彼の悔しさは想像できるだろう。大会終了後、チビッコ達にDCのステッカーを配ったり、
ファンサービスに務めていたのが印象に残る。


第7位は沖縄出身、現在は都内に済んでいる鉄人・才哲治(ムラサキスポーツ)。

今さら多くを語る必要も無いだろうが、2006、2007、そして2009と3度の日本チャンピオンに
輝いた。そして未だにハングリーな気持ちと進化を忘れない、日本が誇るインターナショナルな
スケーターである。残念ながら今回の決勝ではメイクを取れず点数が伸びなかったが、彼らしい
攻撃的なラインは、自己表現を最も重要視する彼のスタイルが凝縮された1分間であった。


第6位はバーチカルでお馴染みの掘米雄斗(インスタント)

彼の経歴は変わっている。2010年に11才で、それもバーチカル枠としてAJSA公認プロに昇格。
昨年からストリートの大会に出場し始めたが、残念ながら結果を残す事は出来なかった。
今年の1月にはスウェーデンで開催されたVERTATTACKのジュニアで優勝し、彼の名前は世界中の
スケート関係者へ知られていった。そんな彼がストリートシーンでも才能を開花させてしまう。
世界を知っている13才、また新しい才能が日本のシーンでも芽吹き始めた様だ。


第6位はお隣の千葉県からエントリーの井狩太海(ムラサキスポーツ船橋店)。

今シーズン前半は足の負傷で棒に振ってしまったが、第三戦の原池からカムバック参戦。
アマチュア時代から闘志むき出しの滑りが印象的であったが、手をグーに強く握りしめながら
難度の高いトリックに挑む滑りは、男らしさの雰囲気を漂わせ始めた気がする(顔は童顔ですが)。
この写真も左に見切れているビックランプからのトライ。残念ながら写真は無いがベンチャーの
バナーあたりまで流している。男前な滑りが彼の魅力となる。


第4位はローカルの意地で春日美夢(Sonik Distribution)がランクイン。

彼もまた数年前から痛めていた足首を手術して今季の前半は休養中であったと記憶する。
地元ローカルの代表としてマップス東京とは相性が良いだけに、このリザルトはホッとしただろう。
自己最高位3位に届かなかっただけに悔しさも有ると思うが、自分のスタイルにも影響する大きな
節目の年だけに、ここは慎重に成長していって欲しいと思う。


第3位は埼玉県からエントリーの佐々木玲司(ムラサキX-DOME)。

元祖・天才キッズスケーターとして様々なメディアに出まくっていた頃から早くも10数年がたつ。
パイオニアとして色々な事を経験し、思春期を過ごしてきた彼にとっては決して平坦ではなかった。
二十歳を超え、大人として彼の後に続いた10代前半のスケーターを迎え撃った玲司に拍手を送る。
公認プロとして初めての賞金ゲット! そして初めてのメダル。
スケートボードと離れていた時期もあると聞くが、続けていて良かったね。おめでとう!


続いて準優勝は岐阜からエントリーの笹岡建介(セキノレーシング)。


すでに名前は全国区といえる笹岡3兄弟の3男坊である。先にも述べたが今年の第3戦、原池で
行われたインデペンデントカップに、ワイルドカードでエントリーして初優勝。先日の全日本アマ
では次男棒の健志もベスト8入り、長男の拳道も関西アマ地区を制覇して、なんと来年は3兄弟での
公認プロ昇格という、前代未聞の勝ち上がりっぷりである。彼もまた13才。この世代が台頭する
5年後あたり、おそらく日本のスケートレベルも想像以上な事になっているのではと思う。




という事でお馴染みの儀式は佐川涼(ムラサキスポーツ クイーンズスクエア横浜)のAJSA初優勝!




大会数日前に練習中に骨折してしまった兄・海斗の初優勝もマップス東京だけに、なにか因果を
感じてしまうが、個人的には兄との対決を楽しみにしていただけに残念。ホームの新横浜まで
自転車で通い、地足を鍛えていると小耳に挟んだが、確実に下半身のバランスが強くなってきた。
兄弟してスポンサーのバックアップ体制も整ってきた様なので、早めに海外へ一度は行って欲しい。
この兄弟が今後のスケートシーンの一翼を担うのは間違い無さそうである。さらには笹尾兄弟との
バトルも来年は楽しみである。





プレゼンテイターはDCシューズ販売元、クイックシルバージャパン株式会社の吉村マネージャー。





そして気になる今年のAJSAグランドチャンピオンは瀬尻稜に決定!
3年連続、4度目の栄冠になりました。
負傷中という事で大会には出場できませんでしたが、会場に遊びに来てくれました。
あらためておめでとうございます!

(写真はムラサキスポーツより拝借)






続いてDC CUP U-12です。プロ戦の決勝終了後に開始。


スポンサーを持たない小学生以下が出場条件なのでレベルは低いと思われがちですが、なんのなんの。
すでに全日本アマチュア選手権に出場経験がある子も何人か混ざり、とても小学生レベルとは思えない
ヤンチャなトリックが次から次へと繰り出されます。また時には微笑ましいアクシデントも連発し、
MC担当のジェッツ森氏もご満悦。





お父さんも、お母さんも、一緒になって盛り上がり、会場の雰囲気はまるで運動会の様ですが、
この中から必ず次世代、その次の世代のスケーターが生まれて来る事は間違い有りません。
勝ち負けよりも楽しめる場所。このDC CUP U-12はそんな大会なのです。





そんなこんなで参加者全員、楽しんでくれたギャラリー全員に「ありがとう」と感謝です。
そして、こんな楽しい一日を演出して下さったクイックシルバージャパン株式会社様。
DCスタッフの皆様。あらためまして「ありがとう」でございました。

来年もよろしくお願いいたします。



写真/文章 日本スケートボード協会