青木勇貴斗が初の年間王者に!
AJSA 2019 ファイナルのムラサキカップ




11月3日に2019年のAJSAプロツアー最終戦、ムラサキカップが足立区にあるムラサキパーク東京にて開催された。
2月の日本オープンから始まった9か月にわたる戦いもついにフィナーレを迎え、
この一戦を制した青木勇貴斗が初の年間王者に輝いた。
ではさっそくこの国内最高峰の戦いを振り返っていこう。



会場はおなじみのムラサキパーク東京



ジャッジは左から亀岡氏、塩谷氏、ヘッドジャッジの冨田氏、秋山氏、山西氏のおなじみのメンツ



受付時にくじ引きで決まる発走順。今回は青木勇貴斗が最初の滑走者に

舞台となるのはもうAJSAでもその他のビッグコンペティションでのおなじみのムラサキパーク東京。
国内では最高峰の設備を誇るパークだ。そして脇を固めるジャッジ陣もおなじみのメンツが揃いコンテストはスタート。
総エントリー数は23名と人数だけ見ると少ないと感じるかもしれないが、
今年のDEW TOURで2位に輝き、現在WORLD SKATEのオリンピックポイントランキング6位の白井空良や、
昨年のTAMPA AM王者で今年のTAMPA PRO 3位の池田大亮なども参戦しており、中身は非常に濃いものとなった。
コンテストシーンのトップを狙う少数精鋭達による戦いと言えるだろう。

また今回はムラフェスと題したムラサキスポーツのアクティブスポーツ体験型のフェスとの同時開催となっており、
会場には多くのファミリー連れが訪れていたほか、エリック・ドレッセンやショータ・クボ、ベネット原田らも来場。
エンターテインメント要素も盛りだくさんの1日となった。



コンテストと同時開催されていたムラフェス



来日していたショータ・クボとエリック・ドレッセンに荻野太陽



会場の外ではバーチカルのデモやライブイベントなども行われた




ではさっそくライディングの方を振り返っていこう。
ここにあげる上位10名は、間違いなく現在の国内コンテストシーンの最高峰に立つライダー達と言える



決勝の前には多くのオーディエンスが駆け付けた



10位は三重県が生んだ兄弟プロの兄にあたる佐々木来夢。弟の音憧は予選敗退となったが見事に決勝進出でスイッチF/S270ボードスライドを披露



9位は最年少プロの一人、渡辺星那。ヒールフリップ系の複合トリックを得意とする。このヒールフリップF/S50-50グラインドも余裕のメイク



8位は渡辺星那の兄にあたる渡辺雄斗。スラッとした伸びやかなライディングで見せたフェイキービングスピンフリップF/Sリップスライド。ルーティーンに多くのトリックを入れこむのが彼のスタイル。



7位は同じく最年少ルーキープロの池田大輝。見るたびにトリックの引き出しが増え、現在、猛スピードで成長中。このオーリーF/Sレイトショービットからのボードスライドもさらっとメイク



6位に入ったのは池田大亮。彼の実績からしたらこの順位は不本意だろう。ケガから復帰後はイマイチ成績が振るわない彼は来年の巻き返しを狙っているに違いない。B/S270キックフリップボードスライド



5位には同じくルーキープロの山附明夢が輝いた。テンポよくさらっとトリックをこなす軽さが持ち味。そのルーティーンにさらなるキラートリックが入ればさらなる順位アップも可能だろう



4位は前回のH.L.N.A Cupの覇者、根附海龍。このオーリーB/Sレイトショービットボードスライドもさることながら、ヒールフリップF/Sクルックドグラインドもメイク。ヒールフリップ系トリックの完成度ならば群を抜くスキルだ



3位はトリックのオリジナリティなら間違いなくNo.1だった白井空良。このF/S270スイッチB/Sリップスライドだけでも十分スペシャルだが、シグネチャートリックと言われるアーリーウープの180グラインドもメイク。もう少しトリック数を増やせれば文句ナシの1位だっただろう



2位は予選トップ通過の山下京之助。このトレフリップの見ても余裕がある動きであることは一目瞭然。決勝2本目のラストではダブルトレフリップもメイク。彼もまた初戦の日本オープンよりも大きく成長した一人と言えるだろう





そして堂々の優勝は直近のSLSで決勝へ進出し、現在オリンピックポイントランキング10位につける青木勇貴斗。彼にとってはこのトレフリップF/S50-50グラインドはもはやイージーなトリックなのかもしれない。そして時間内にメイクはならなかったが、最後には奥から手前のバンクへぶっ飛びのトレフリップトランスファーも意地のメイク。今年最も飛躍したライダーは彼で間違いないだろう。


こうして今年のAJSAも無事に幕を閉じた。
例年プロツアーの最終戦の結果は、ライダー個々の一年の成長の確認と同時に、翌年のシーンを占う指標にもなるのだが、今年も例にもれず様々な特徴があった。
まずトップ3がぶっちぎりの滑りを見せていたこと。上位3人は3点差にも関わらず、4位とは20点以上も離れていたのだから、この3人がいかに高い次元の戦いをしていたのかがわかるだろう。そして、この3名全員がオリンピックに向けて選ばれた強化指定選手だったことは偶然ではないだろう。海外のビッグコンテストに出場して経験を積むことがいかに重要なのかを証明してくれた。

そしてもうひとつは新世代の台頭だ。今回決勝に残った渡辺星那とルーキープロの池田大暉はわずか12歳。まだ身体が出来上がる年齢ではないにも関わらずファイナリストに名を連ねたということは、来年にはさらに成長した姿を見せてくれることだろう。ひょっとしたら優勝争いをしているかもしれない、そんな期待を抱かせてくれる滑りだった。彼らの他にも山附明夢や芝崎太陽がルーキープロで決勝に残っており、経験を積んだ彼らの今後も非常に楽しみだ。

今年も残すコンテストはごくわずか。そして来年はいよいよオリンピックイヤーだ。
スケートボードシーンは、前例がないくらい大きな盛り上がりを見せるだろう。
来年の今頃は、ひょっとしたらこの中の誰かがメダリストになっているかもしれない。






今回のトップ3。左から山下京之助、青木勇貴斗、白井空良。



優勝した青木勇貴斗には京成電鉄賞も授与された



年間チャンピオンおめでとう!



Photo & Text By 吉田佳央 (yoshioyoshida.net